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『相続はつらいよ』シリーズ 次はあなたが相続放棄よ (FPベンゴシ)

みなさま、こんにちは!

札幌のFPを中心とした専門家ユニットなないろ福円隊でございます。

 

今回は、『出る杭は打たれる』が座右の銘

普通であることをこよなく愛するFPベンゴシが担当いたします。

 

実は私もずっと前から「プーさんはパンツはいていないなぁ~」と思っておりました。

中欧に同じことを考えていた人がいて安心しました。

 

さて、わたくし個人のブログで展開している『相続はつらいよ』シリーズですが、

本日は福円隊ブログに場所を移して始まりでございます。

 

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相続の問題は、おおよそ次の問題からなっています。

 1 相続する人はだれ?

 2 遺産はどれ?

 3 どうやって分ける?

 



 本日は、相続する人は誰?という問題を中心にお話ししたいと思います。

 

 相続には、大きく二グループに別れます。

 ひとつは、「配偶者」で、

 もう一つは「血族」でございます。

「配偶者」というのは、夫から見れば妻、妻から見れば夫のことです。


この配偶者は、つねに相続人になります(民法890条)。


 これは、夫、妻、という地位にあれば、当然に相続人として認められます。

 どんなに生活を顧みない夫でも、夫という地位にあるだけで、妻の相続人であり、

 どんな悪女でも、妻という地位にあれば、やはり、夫の相続人でございます。


 相続における「配偶者」は、法的な配偶者、つまり、籍が入っている配偶者を指し、内縁は含まれません(これは、相続税法でも同じです)

 内縁の夫又は妻には、相続権はまったくなく、「相続」させるには遺言をするほかありません。


 つぎに「血族」でございますが、


 これは、単純に血がつながっている人、と思ってもらってよいです。

(例外は、養子縁組で、血のつながりがない人同士でも、養子縁組すると血族になります)。


 この血族も相続する権利があります。


 配偶者は日本の社会においては、一人しかいないことになっているのですが、血族は、複数人いる場合があります。


 そこで、血族の相続には順位があるのでございます。


 血族相続人には、第1から第3順位までございまして、次のように順位づけされております。

  第1順位は子

  第2順位は直系尊属

  第3順位は兄弟姉妹

 この順位は、先順位の人が一人もいない場合に、次順位の人が相続人になるということを示しています。

 

 たとえば、子がひとりもおらず、直系尊属(父母、祖父母など)も一人もいない場合に、はじめて兄弟姉妹が相続人になります。

 

 ところで、直系尊属は、具体的には、父母、祖父母、曾祖父母、高祖父母・・・・たちのことです。

 

 相続人の直系尊属は、父母とか祖父母などと個別に規定されず、本人より上の直系の世代がひとまとめで相続人になっています。

 

 この直系尊属のうち、本人(被相続人・死んだ人)に近い世代から、順次相続人になります。

 つまりですね・・・・

 ひとつ上の世代の父母(または父、母いずれか片方)がいれば、父母が相続人になります。

 ひとつ上の世代の父母両方がいない場合に、始めて、二つ上の世代の祖父母が直系尊属としての相続人になります。


 ちなみに、兄弟姉妹が相続人となるには、これらの直系尊属が一人もいないことを証明しないといけないのですが、私たち法律家の実務では、明治31年式戸籍に記載されている人まで遡って調べて済ませることが殆どです(それ以前の戸籍は、保存期間を経過しておりますし、それ以上の人は生きていないだろうと考えられるからです)。

 

 さて、このように、直系尊属(父母、祖父母など)が相続人となるには、子が一人もいない(相続時に死亡している)ことが必要ですし、

 兄弟姉妹が相続人となるには、子、直系尊属がすべていないことが必要です。

 

 先順位の人が一人でもいると、次順位の人は相続人とは、なりません。

 

 ちなみに、これら血族相続人は、配偶者とともに相続人とされます。つまり、配偶者がいる場合は、配偶者と血族が相続人となります。

配偶者いない(又はすでに死亡している)場合には、血族だけが相続人となります。

 

 

 さて、このように、相続人は、法律で決まっており、血族の場合は、順位も決まっています。

すると、相続発生時(死亡時)に、たとえば、子がいると、兄弟姉妹はもう相続人にはならない、ということになりそうです。

 

 が、実は死亡後、相続人が変動することがあります。

 それは、相続放棄があった場合です。

 自分のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月「熟慮期間」中、相続するか、しないかを考えることができます。

 つまり、その熟慮期間中に、相続をするか(承認)、それとも相続をしない(放棄)かを決めることができるのです。

 

 そして、相続の放棄相続の放棄をすると、相続開始時に遡って「相続人でなくなる」ことになります。

 つまり、相続の関係では、最初からいなかったことにされます。

 

 ところで、この相続放棄、上記のように、相続開始を知ったときから3ヵ月以内にしないといけません。3ヵ月をすぎてからした相続放棄は、効果が認められません。

 

 さて、この相続放棄を3ヵ月以内にしたとします。すると、どうなるか?

 

 相続放棄によって、先順位者がいなくなると、次順位者が相続人になるのです。

 例えば、どうなるか。右の図を見て下さいね。


 この事例では、「夫」が死亡して相続が開始します。


 配偶者である妻がおり、子もいます。

 そこで、配偶者相続人である妻と、第1順位の血族相続人である子どもが相続人となります。

 しかし、ここで、子どもが相続放棄するとします。


 相続放棄は、最初から相続人ではなかったことになるのです。そこで、子どもが最初からいなかった者と扱われるため、第2順位の血族相続人である直系尊属が相続人になります。

 

 さらに、ここで、第2順位の血族相続人である直系尊属の父母がともに相続放棄したとします。

 すると、第3順位の血族相続人である兄弟姉妹の弟と妹が相続人になるのです。


 さて、どうして相続放棄するか?

 その動機として一番多いのは、プラスの遺産よりも、マイナスの遺産つまり負債が多いため、負債を相続したくない、というものです。

(負債も相続の対象なんですよ(T-T))


 このように、負債があるから相続放棄する。

相続放棄すると、相続人が変動する。

 

 つまり、結果として、相続放棄は、次順位の血族相続人に、負債を押しつけることになるんですね。

 

 ですから、相続放棄をしたら、できる限り、次順位の人たちには、「つぎはあなたの番でござんす」と、ひとこと相続放棄したことをきちんとお知らせするべきです。

 

 そうしないと、自分たちは相続とは無関係と思っている次順位の血族相続人に、いきなり、債権者から督促がいく、というようなことになりかねません。

 

 これでは、親族としての礼儀を欠いてしまいますでしょ、きっと。

 

さて、では、こんな事例はどうなるんでしょう?

 

 第1順位の子が相続開始後2ヵ月後に相続放棄した。

 第2順位の父母が相続開始後、3ヵ月以内に相続放棄した。

 第3順位の兄弟姉妹が相続したときには、すでに3ヵ月がすぎていた・・・・

 

 先ほど、相続放棄は、3ヵ月以内にしないといけない、と申しました。

 兄弟姉妹が相続したときには3ヵ月が過ぎている・・・・

 もう相続放棄できないのでしょうか。

す、すみません(゜Д゜)。脅かすつもりはなかったのですが・・・・\(__ )

 

・・・・相続放棄はできます。

 

 相続放棄は、厳密には、相続開始から3ヵ月以内ではなく、「相続開始を知ったときから3ヵ月以内」なのです。

 

 兄弟姉妹にとっては、自分に相続が開始されたことを知ったのは、自分が相続人になった以後です。具体的には、先順位の直系尊属が相続放棄したことを知ったときですね。

 このときから3ヵ月以内に相続放棄すれば、問題はございません。

 

 でも、やっぱり、ちょっとしらべると、「相続から3ヵ月」って書いてありますから、ドキっとするんですよね。

 

 なので、相続放棄したときには、次順位の血族相続人の方には、できれば、このことも、一言申し添えていただきたいなぁと思います。


来週の小人は 夫婦問題の火消し役 祐夕子ねーさんです。お楽しみに。