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遺言 こんな時どうする? 遺言がトラブルにならないための基礎知識

皆さん、こんにちは。

札幌のFPを中心とした専門家ユニットなないろ福円隊

今週は、yoshizo-こと行政書士の村上が担当いたします。

 

今日は遺言についてお話したいと思います。

 

 高齢の方とお話をしていると、ご自分が亡くなった後、その所有している財産をどうするか

  ということを非常に心配されている方が多くいます。


 自分の財産はどうなってしまうのか・・・ 

   色々面倒を見てくれた、甥にいくらか分けてあげたい・・・ 

 子どもよりも、孫に遺してやりたい・・・

 子どもたちの仲が悪いので心配だ・・・  などなど


 色々なご希望やお考えがあったとしても、亡くなってからでは、それを

 直接伝えることはできません。


 そんな場合に活用するのが、「遺言」ということになります。


 ちなみに、一般的には「ユイゴン」と言われますが、法律に詳しい方は 

 「イゴン」と言うことが多いです。


 

 この遺言も、きちんとしたルールに沿って書かれてきないと、せっかく書いて

 おいても法律的に無効となってしまう場合がありますので注意が必要です。


 例えば、ご自分が自筆で書く、「自筆証書遺言」の場合、


 ・全文を遺言者が自筆で書くこと

 ・書いた日付を記入すること

 ・遺言者本人が、署名・押印すること

 ・加筆や修正をする場合には、定められた方式に沿って行うこと


 これらを守って遺言を作る必要があります。

 

 もちろん、これは基本ルールですので、トラブルを避けるためには、

 その内容も重要になってきますので、心配な方は専門家に一度相談されるのが

 良いと思います。

  

 

 次に、遺言を書こう、遺そうと思ったときの良くある疑問について、いくつか例を

 上げてお話しようと思います。


 ① 一度書いた遺言は変更できるの? 以前に書いた遺言はどうなるの?


   遺言の変更(訂正)や取消(撤回)等はいつでもできます。いつでも何回でも

   可能です。書いた時には「これで大丈夫」と思っていても、お考えやお気持ちが

   が変わることは十分考えられます。また、財産内容が大きく変わってしまった場合

   には、書き直しをした方が無難です。

   では、以前に書いた遺言はどうなるかですが、完全に書き直しをするのであれば、

   破棄してしまうのが一番安全です。遺言が何通もあった場合には、内容が重複して

   いる部分については最新の日付のものが有効になりますが、重複していない部分は、

   以前の遺言も有効となります。

   トラブルを避ける意味でも以前の遺言は破棄をするか、新しい遺言で以前の遺言を

   撤回・修正する旨をはっきりと記載した方が良いでしょう。


 ② 奥さんに全てを相続させる遺言を書こうと思うが、もし私より先に奥さんが亡くな

   ったら?遺言はどうなるの?


   遺言によって財産を受取る人(受遺者)が、遺言者より先に亡くなってしまうケー

   スも考えられます。そうなった場合、亡くなった方に係る部分の遺言内容は失効して

   しまいます。今回のように全て奥さんにという遺言で、その奥様が先に亡くなってし

   まってした場合には、その他の相続人が相続することになります。

   このような心配がある場合には、「予備的遺言」と言って、「もし奥さんが、遺言者

   より先に死亡した場合には、○○に相続させる」といった内容を記載しておくと安心

   です。


 ③ ビデオレターで遺言を遺したら・・・どうなる?


   最近は、誰でも簡単に映像を残せるようになっていますし、ご自身が直接語りかける

   形で自分の考えを伝えたいというご希望も当然増えてくるかと思いますが、残念なが

   ら、法律では認められていません。現行の民法では、遺言は必ず書面で遺す必要があ

   るのです。ビデオ等では編集や改ざんされてしまう可能性があるからです。

   ただ、法律的には認められていませんが、遺言者の直接のメッセージは、遺された遺

   族に思いを伝える方法としては有効かと思いますので、書面での遺言書と併用して活

   用するのが良いのではないでしょうか。


 ④ 認知症になってしまったら・・・遺言って書けるの?


   民法には、遺言をするには、意思能力がなくてはならないと定められています。つまり

   遺言を書くときに、自分のした行為の結果がどうなるかを理解して、そのことについて

   自分自身で判断できる能力が必要ということになります。

   ですから、認知症=遺言が書けないということではなく、書いた際の本人の判断能力が

   あったかどうか・・・と言う部分で有効か無効かということが決まります。

   逆に言えば、後々遺言の有効性で争いとなった場合には、本人に判断能力があったことを

   証明する必要があるということになります。

   このような心配がある場合には、自筆証書遺言ではなく、公証人が作成する公正証書遺言

   を残しておいた方が、トラブルを避ける意味でも有効です。




 本日は遺言で良く相談される事例をいくつかご紹介しました。


 自分の最後の思いを伝える手紙・・・それが遺言です。


 せっかくの遺言を「無駄」にしないためにも、正しい遺言を遺して

 いただければと思います。


 以上 yoshizo-でした!