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あなたはiDeCoを始めてはいけない(FPまりりん)

こんにちは。札幌のFPを中心とする専門家ユニット なないろ福円隊リーダーのFPまりりんです。

みなさんは確定拠出年金を利用しているでしょうか?
名前は聞いたことがあるけど、何だかよくわからない。
それって何?
iDeCoも確定拠出年金なの?
そもそも損なの?得なの?

 

・・・というくらいの認識の方が、多くいらっしゃるのが現状です。
でありながら、実は多くの企業が導入済みでもあり、妻が知らないだけで、夫は会社で確定拠出年金を利用しているというケースも多々お見受けします。

その夫本人が、よく理解せず(お勤めの会社に導入されているのに)放置しているというわけです。
ここ数年の間に会社で導入された方が多くて、沢山ご相談を受けました。

現在、会社員の6人に一人が加入しているそうですよ。(企業型)

今日は、iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリットばかりが強調されて、誰もが加入したほうがいいように思ってしまう状況に懸念をいだいている私が、
iDeCoに加入してはいけない人がいることを、お伝えいたします。
自分が iDeCoに加入してはいけない人なのかどうか?わかりますか?

まず 制度について、ごくごく簡単に説明しますね。


確定拠出年金には、個人型と企業型があります。
そもそも何か?というと、老後資金を積み立てながら資産運用して作っていく制度で、
●個人型(iDeCo)は自分で自分の老後に備えて積み立て(資産運用)する制度、
●企業型は企業がお金を出して(拠出)従業員の為に積み立てる退職金制度です。

大きく分けると個人型と企業型の2つなのですが、
もう少し細かくわけると4つに分けられます。
その時点で、もう混乱している方が ほとんどです。
特に、最近 「企業型なのですが、企業がお金を出すわけではない確定拠出年金」の導入をよくお見かけいたします。

みなさんの会社は、導入しているかどうか?何を導入しているかご存知ですか?

 

①企業型確定拠出年金   企業が退職金制度として導入・掛け金は企業が拠出(払う)

②企業型確定拠出年金【マッチング拠出】 上記①の制度が導入されている企業で、個人が上乗せで自分で拠出(払う)できる仕組み
※給与・賞与としてもらったお金の中から個人が拠出する。
 全額所得控除の対象。(所得税・住民税の軽減)

③企業型確定拠出年金【選択制確定拠出年金】 企業で導入する制度だが、掛け金の拠出は個人が行うもの。
※選択制という意味は、その分の掛け金を

「今(今までどおり)給与として受け取る」か

「将来退職金として受け取る」かを

従業員が自分で選択するからです。
これを利用するということは給与としてもらっていた額から拠出するため、給与そのものが減ります。
※給与が減るので、社会保険料・税金ともに軽減、将来受け取れる厚生年金が少し減るデメリットもある。(社会保険料が減るということは、社会保険料に関係する給付が減るということ)

ただし、給与が減っても厚生年金の標準報酬月額の等級30等級(月収60.5万円以上)となる人には影響がありません。

④個人型確定拠出年金(iDeCo)
自分自身で投資(資産運用)をして、老後の年金(資産)のプラスαを作っていくもの。
老後のお金についての関心の高まりや、公的年金制度だけでは足りないと考える方の増加などもあり、2017年1月より20歳以上60歳未満の全ての人が原則利用できるようになりました。

※掛け金は全額所得控除の対象。(所得税・住民税の軽減)
~iDeCoを利用できない方もいます~

※国民年金保険料を払っていない方(未納・免除)
※上記②マッチング拠出を企業が導入されている方
※企業型確定拠出年金の事業主掛け金限度額が年間42万年(月額3.5万円)超の場合

※企業型確定拠出年金と確定給付型年金が導入されている場合、企業型DCの事業主掛け金が年間18.6万円(月額1.55万円)超えの場合

 

 


確定拠出年金のメリット


1.掛け金が全額所得控除(①の企業型以外の②~④の方)
2.運用益が非課税になる(将来、退職金OR年金として受け取るときに課税される・退職所得控除の範囲内の場合は税額がゼロのケースもあり)

3.個人勘定なので年金破綻のリスクがない(運用のリスクはあります)
4.万が一、自己破産しても資産が残る 
5.選択するファンドの購入手数料が無料、信託報酬が低い(コストが低い)

6.退職所得(一時金)、もしくは公的年金等所得(年金)として受け取ることができる

 (退職所得控除OR公的年金等控除が受けられる)

1.の掛け金の全額所得控除により、どれくらいの節税効果があるのか?ということ

会社員 年収800万円の一例(ケースバイケースなので、ご参考まで)
掛け金  月々23,000円(年間276,000円)
節税効果 年間84,000円

である。


メリットがいっぱいですが、デメリットもあります。

デメリット、もしくは留意点

(デメリットというほどではない点も含まれています)

1.60歳まで引き出しができない
2.iDeCo(個人型)を利用するには毎月の維持手数料がかかる

 (私の感覚では、ごくわずか・・・・という印象)
3.年金を受け取るときには「所得」扱いとなり、所得控除以上に退職所得や公的年金がある場合には課税される

4.企業の退職金と一緒に一括で受け取るのか?年度を変えて受け取るのか?

  どう受け取るかによって課税額が違うケースがあるため、それを算出するのは複雑。

 (自分で計算することが難しい)

5.選択制確定拠出年金の場合は、給与の減額により、社会保険給付も減額される

 (一般的には、効果の方が大きいとされているが、障害年金や傷病手当金を長く受け取ることになった場合にはそうとは限らない)

6.自分ではよく理解できない(という方が多い)

 

 

う~~~~ん。大丈夫でしょうか?みなさん。

結構複雑ですね・・・・

 

私が今日 

「iDeCoを始めてはいけない人」にお伝えしたいのは

iDeCo始め、選択制確定拠出年金、マッチング拠出も含めた 自分で拠出する確定拠出年金の
デメリット・留意点の 1.60歳まで引き出しができない ことです。

会社員の方(第2号被保険者)は 年間14.4~27.6万円が拠出の上限

(企業年金や企業型確定拠出年金の導入状況によって、上限が違う)

自営業の方(第1号被保険者)は 年間81.6万円が拠出の上限です。
自営業者はメリットも大きいですが、上限が大きい分 注意も特に必要です。

 

老後の生活のための資産形成と考えると60歳まで下ろせなくても問題ないし、むしろ下ろしていたら資産形成が進まないじゃないですか。
だから、60歳までの間の暮らしは、給与収入や事業収入や資産でまかなえば良いわけなんですよ。



しか~~~~~~~し!!
そうはいかないのが、実際の家計。
余裕がある方、ない方
余裕があったのだけれど、なくなってしまう方
など、いろんな家計状況がございます。

住宅ローンを組んで10年後

●上の子が大学に入学して 1年目の教育資金として300万円の支出、2年目からも毎年250万円の支出が発生、そのほかに自動車免許取得のお金35万円を出してあげたり、成人式にかかるお金が20万円、就職活動費に50万円・・・・といったお金をかけることになり
●同時に下の子は 高校1年生 上の子と同じように大学進学を目指していて、今の教育費は年間80万円かかっている

●自宅屋根と壁の修繕で120万円 

●車が壊れて買い替えで250万円(2台所有している方もいる)
●そろそろボイラーも壊れそうで50万円かかる
●食洗機も数年以内に壊れそう、15万円

●ガスコンロ(もしくはIH)も5年以内には交換時期、15万円

●数年起きに、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機・・・・と家電も買い替えが発生

と、予測しきれていなかった様々な大きい支出が重なり
専業主婦だったママがパートで働くようになったものの、預金は取り崩す一方。
2000万円もあった預金が あっという間になくなりそうな勢いとなっている。

というようなことが十分ありえます。

よくあるケースです。

これは、予測をしてあっても 避けられない方もいらっしゃるので

(つまり そういうライフプランなので)
その場合、60歳までおろせないところにお金をおいてしまうと、上記の生活が達成できなくなってしまうのです。

若いうちに子育てを始めたご夫婦は、

一気にお金を貯めて
教育費でいったん使って資産は激減して
45歳くらいで子供が社会人になった後に、また一気に資産形成をしていくことになると思います。
こういったケースで、若いうちから老後の準備もするということは難しいです。

老後に向けて加入した保険を解約して教育資金に使うことになり、本来は増やすことが目的だった保険を中途解約したことにより元本割れするケースが多発しております。

あくまでも上記は一例ですが

1.家計管理をしていない

2.家計に余裕がない

  (今余裕があっても、将来なくなる方が続出)
3.将来までの収支の予測が全くついていない

   (ライフプランがない)

という方には 60歳までおろせないところで資産形成をすることはリスクが大きいと思います。(お金が足りなくなる)

資産運用が怖いという方がいらっしゃいますが
むしろ先の見通しがたっていないことのほうが、私は怖いです。

 

iDeCo、マッチング拠出、選択制確定拠出年金
それぞれメリットはありますが
実際に、個人のご家庭の家計をみさせてもらっているFPの私からしてみると
ライフプランのある方でも、全員に利用価値があるわけではありませんので
ライフプランのない方は、「おやめなすって」としか思えないのです。

まぁ、失敗も経験になりますから
手元資金が底をついてなくなってしまった時に、iDeCoを解約できないジレンマに陥るのも悪くはないのかもしれませんが・・・・

制度や金融商品を比較したりすることよりも
まずは、ご自分の家計と向き合って

未来の計画をたてて、流動性資産と資産運用するお金のバランスを考えた上で選択できるように

なれますように。